資材置場

いまだ作品の形にならぬ文章を一時保管する場です。

「シン・ウルトラマン」感想(ネタバレあり)

結論から言えば、面白くありませんでした。 それで少ししょげていたのですが、単に落ち込んでいても仕方がないので、具体的に面白かった点、つまらなかった点を書き出しておこうと思います。 ネタバレしますのでご注意を。 なお、筆者は幼少期にウルトラマン…

「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」感想(ネタバレあり)

公開から1週間以上経過しましたので、「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」の感想を書きます。 ネタバレはあります。未鑑賞のかたやネタバレを回避したいかたは、この先をごらんにならないようにお願いします。 (注)以下、ネタバレあり ■概観 まず前提とし…

ド・ブロイの異脳狩人/Take1-4

教室に戻ったときにはもう代数の講義が始まっており、《|気晶显示《ディスプレイ》》いっぱいに余弦定理の証明が表示されていた。K.K.が遅刻を謝ると、教師は強張った表情のまま席につくよう指示した。よくあることだ。珍しくもない。 だが、窓際の席まで歩…

ド・ブロイの異脳狩人/Take1-3

だが、彼女の納得に楔を打ち込もうとするかのように、校庭の向こうに2つの影が現れた。はじめK.K.はそのうちひとつ――童顔の若き政治家のほう――のみを認め、飛び上がって手を振った。 「|小博《シャオボー》!」 しかし、クソ真面目な顔して手を振り返す|李…

ド・ブロイの異脳狩人/Take1-2

校門の周囲に溜まって熱い視線をくれるクラスメイトたちへ、さりげない微笑を配り、背筋をピンと伸ばして一声。 「おはよう、みんな」 反応はさまざまだ。舞い上がってうわずった挨拶を返してくる男子。よそ行きの顔で応える女子。照れて無言でそそくさ立ち…

ド・ブロイの異脳狩人/Take1-0

(キャッチコピー)好きでもない男たちに、かわるがわる殺される。 (紹介文) 《|廣汎化《ユニヴァリゼイション》》の波が全地球を飲みこんで、もう半世紀になる。人類の進化と社会組織の理想化を謳った叡智の播種は、結局のところ、新世代の|汚穢《おわ…

ド・ブロイの異脳狩人/Take1 1

「枝の刃は手折られた」 狩人の目がK.K.を捉え、「王に死を。去にし辺より来て往く末へ。明日の明日のその先までも。絶えることなく王に死を」 《枝》が彼女の|心臓《なか》を貫いた。 途端、血という血がK.K.の中で破裂した。熱は滾り身体を巡り、恐怖は狂…

女狩人は王を狩る(仮題) 試し読み1

ケイと初めて出会ったのは、|仁清路《レンチィンル》沿いのゲーム・アーケイド前でのことだった。その時の|黒霧《クロム》はまだ11歳の小娘に過ぎず、力も知恵もないばかりか《疫病ネズミ》のように汚れていて、《恒常灯》の落とされた暗い裏通りに全く似…

プロットの例

「最後の戦い」プロットの例 剣士がさびしい一人暮らしの中で死にかかっていた 病に倒れたのだ長くはもつまい 今日か、明日か……ああ、俺の人生は何だったのだ? 剣の腕をひたすら磨き しかし報われることもなく 名を為すこともできずに死んでいく 俺の一生は…

焦がし砂糖は甘くて苦い。 冒頭試し読み

"S.o.S.;The Origins' World Tale" EPISODE in 1313 #A10"Not Only Sweet..."/The Sword of Wish この胸のときめきは、船着広場の賑わいのせいでも、昼下がりの陽気のせいでもない。万年仏頂面のカジュでさえ、もう認めざるを得なかった。 ――ボク、テンショ…

黒鐵の乙女 2

患者、すなわち男爵令嬢クイッサは、塔の上に匿われていた。格子付きの重い扉に錠まで下ろされ、許しなくば寝床から起きる上がることさえできない、この状況を“匿う”と呼ぶのなら。 クイッサには、まるで生気がなかった。見知らぬ狩人たちが部屋に上がり込ん…

黒鐵の乙女(仮) 1

男爵令嬢の婚礼が先延ばしになったことは、ほとんど口端に上らなかった。手段を選ばぬ口止め工作が奏功したものとみえる。花嫁は療養の名目で家を追い出され、その行き先は誰にも知らされなかった。秘密は守られたのだ――鋼鉄の甲冑の如き堅牢さで。邪宗の秘…

ぬいぐるみ達とハゲ頭(ボツ原稿)

"S.o.S.;The Origins' World Tale"EPISODE in 1313 #A03"Stuffies and a Baldie"/The Sword of Wish 勇者の後始末人、“叩き潰す”ボーマン。 |三十二貫目《120kg》|六尺五寸《197cm》、その筋骨の隆々たること巌の如し。浅黒い肌はさながら鋼鉄、厳めしい禿…

刃の緋女 8

(状況が飛んでますが気にしないでください。ここまでのぶん大幅書き直ししますので、その続きからです) ずぶ濡れで、夜風に震え、疲れ果てた身体を引きずり、ようやく家に帰った時には、とうに夜半を過ぎていた。もう夜明けまでさほどの時間は残されていま…

刃の緋女 7

今や一国一城の主となったセコイヤ・コスイネンは、でっぷりと太った見苦しい身体を上下に弾ませながら、落ち着きなく屋敷の中をうろついていた。苛立ちを隠すことはできなかった。思い通りにことが運ばない。彼の類まれな力を持ってしても。 彼の旧主ボダク…

刃の緋女 6

夜は更け、細い月が中天にかかる。それでもまだ後始末人ヴィッシュの動きは止まらなかった。教区の端から端まで、あらゆるところを虱潰しに調べるつもりかもしれない――あまりにも闇雲な動きに、尾行者はそう推測したのだった。 その男は、獲物の後を付かず離…

刃の緋女 5 改訂版

それからヴィッシュは街中のいたるところを駆け回った――市場、教導院、貸倉庫、飯屋に飲み屋、果ては娼館に至るまで。それぞれで顔見知りを探し、何か密やかに言葉を交わしては、すぐさま次の場所へ飛んで行く。昼は風の如く過ぎ去って、夕暮れの息遣いが早…

刃の緋女 5

それからヴィッシュは街中のいたるところを駆け回った――市場、教導院、貸倉庫、飯屋に飲み屋、果ては娼館に至るまで。それぞれで顔見知りを探し、しばし密やかに言葉を交わしては、すぐさま次の場所へ飛んで行く。昼は風の如く過ぎ去り、夕暮れは一息に潰え…

刃の緋女 1〜4 修正版

"S.o.S.;The Origins' World Tale" EPISODE in 1313 #A09"Hime; the Edged"/The Sword of Wish 緋女の激怒は面に出ない、むしろ潮の引くように静まるのだ――ということを、ヴィッシュはその時初めて知った。 彼女の顔に貼り付く、仮面のごとく無機質な表情。…

刃の緋女 4

コバヤシの元を訪ねてみれば、彼は本業の酒屋に臨時休業の札を垂らして、ヴィッシュの出来(しゅつらい)を待っていた。緋女の災難について、耳聡くも噂を聞きつけたらしい。二三の手下を集め、いつでも動ける準備を整えてさえいる。ヴィッシュは奥の間に通…

刃の緋女 3

「治せないわけあるか、お前カジュだろっ!」 ヴィッシュは少女に詰め寄り、その小さな肩を力任せに掴みさえした。カジュには目を逸らすことしかできなかったというのに。 緋女が路上に倒れている――その知らせに、ヴィッシュはすぐさま駆けつけた。そこにい…

脳みそ使わずキャラづくり

次の項目それぞれについて、サイコロを降ってキャラクターの性質を決めてください。【立場】 1 男性 2 女性 3 ロボット 4 犬 5 竜 6 コガネムシ【年齢】 1 幼い 2 若い 3 青年 4 中年 5 老年 6 すでに死んでいる【欠落】 1 財産が失われた 2 能力が失われた …

刃の緋女 2

感情は炎の如きもの。燃え盛っているのは明らかでも、その形は常に揺らいでひとつの姿に留まらない。掴みどころなどあるはずもなく、それでいて、手を突っ込めば肌を痛烈に焼き焦がすのだ。 とりわけ緋女にとっては手に余る代物であっただろう。何しろ彼女は…

刃の緋女 1

"S.o.S.;The Origins' World Tale" EPISODE in 1313 #A09"Hime; the Edged"/The Sword of Wish 緋女の激怒は面に出ない、むしろ潮の引くように静まるのだ――ということを、ヴィッシュはその時初めて知った。 彼女の顔に貼り付く、仮面のごとく無機質な表情。…

プリンセスには、貌が無い 2.全き白の仮面/7

魔女の家に帰り着いた時には、もう夜半を過ぎていた。アルテマは速やかに旅支度を整えた――といって、財産は数えるほどもなかったが。魔女がくれた若かりし頃の服。これは姫の慎ましやかな乳房にぴったりと合っていた。大鬼ガリがくれた頭陀袋。外套の裏に吊…

プリンセスには、貌が無い 2.全き白の仮面/6

夕暮れを迎えたモンの街路は、煮え滾る鍋の中にすら似ていた。美しく舗装された大街道に、今夜ばかりは数え切れぬほどの屋台露店がひしめき合う。食い物ならば、脂滴る炙り肉、山と積まれた焼き菓子、駄菓子、飴玉の類に林檎の蜜漬け、揚げ魚。飲み物ならば…

プリンセスには、貌が無い 2.全き白の仮面/5

翌日の午前一杯、アルテマは周辺の木立の中をそぞろ歩きながら、これからの身のふりようについて考えを巡らせていた。無駄なことであったが。王都が、国が、どうなっているのか、この森の中からは何も分からぬ。ここはまるで母の子宮だ。何も持たず、何も知…

プリンセスには、貌が無い 2.全き白の仮面/4

「魔女様がた。そなたらの親切にはいくら感謝してもしたりぬ」 その日、囲炉裏を囲んでの夕餉の席で、唐突にアルテマはそう切り出した。ミエルは驚いて大きな目をもっと大きく見開いたが、魔女と大鬼は食事の手を止めはしなかった。骨付き鶏にかぶりつきなが…

プリンセスには、貌が無い 2.全き白の仮面/3

そこからの回復は目覚ましいものだった。朝夕にかけてもらう魔法が効いたのか、旨い食事が活力を呼び戻したのか、日を追うごとに痛みは軽くなった。2日目には会話と咀嚼が可能になり、3日目には手足が動かせるようになり、7日が過ぎた頃には足の骨折も――イン…

プリンセスには、貌が無い 2.全き白の仮面/2

老婆は魔女であった。驚くにはあたらぬ。このような森の奥に、大鬼小鬼に囲まれ暮らしているものが、魔女でなくてなんであろう。 老婆は自らをインバと名乗り、アルテマ姫に癒しの魔術を施してくれた。傷の上に――といっても、あらゆる所が傷であったが――手を…